透析技術の進歩により長期の血液透析療法が可能となり、バスキュラーアクセスの長期のにわたる維持管理が必要とされるようになりました。
当院では、バスキュラーアクセスの作成からアクセストラブルの処置に至るまで、迅速に対応できるような体制を整えています。愛和会施設に通院中の患者様はもちろんのこと、他施設に通院されている患者様に対しても随時受け付けております。
蒲谷 堯(かばや たかし)
血液透析療法を開始するためにはまずバスキュラーアクセスの設定が必要です。そしてそのバスキュラーアクセスの状態が良くなければ、十分な透析が行われません。また、血管穿刺も困難となり透析の度に辛い思いをしなければなりません。そのため、バスキュラーアクセスの作成や血栓除去、そして経皮的血管拡張術などはいつでも行えるような体制が必要です。現在我が国では約90%が自己血管による状況により、これらのバスキュラーアクセスのうちで一番適切なバスキュラーアクセスの作成を行なっております。また、血栓性シャント閉塞やシャント狭窄などのシャントトラブルには、即座に対応させていただき、患者様のシャントに対する不安の解消につとめております。
バスキュラーアクセス(VA)には次のような種類があります
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
---|---|---|---|
経皮的血管拡張術 (PTA) |
391 | 434 | 440 |
内シャント設置術 (人工血管含む) |
13 | 23 | 9 |
内シャント血栓除去術 | 9 | 15 | 3 |
動脈表在化術 | 0 | 2 | 0 |
長期留置型 カテーテル挿入留置術 |
10 | 11 | 16 |
その他 | 2 | 6 | 2 |
合計 | 425 | 491 | 470 |
※PTA(経皮的血管拡張術)とは
画像のようなカルーセルの先端に風船(バルーン)のついたカテーテルをシャント内の狭くなった部分に入れて膨らませることで、そこを広げます。
当センターでは、血管内治療で定評のある「Cアーム」を導入しております。スムーズな血管造影により、患者様の負担をできる限り少なくした手術を行えます。
シャントエコー(超音波)検査について
バスキュラーアクセス(シャントとも言う)とは、透析治療を施行する上で、持続的な血流を確保するために、静脈と動脈を吻合している状態で、血流の出入り口です。
バスキュラーアクセスの良し悪しで、透析治療が左右される事もあるため、良好なバスキュラーアクセスの作成並びに維持は、良好な透析治療を提供する上で必要な管理です。
しかし、近年、高齢者や糖尿病性腎症の増加など多様化した背景も相まって、バスキュラーアクセスの合併症が年々増加しています。自己血管に乏しく、新たなバスキュラーアクセスを作成・維持・管理することが困難となる状況もあることから、現存バスキュラーアクセスの温存は重要です。
バスキュラーアクセス評価では、触って、診て、聴く(理学的所見)を基本とし、シャントエコー(超音波)診断による客観的評価を実施することで、合併症の進行や見逃しがないよう、バスキュラーアクセスの維持・管理に努めています。
また、当院では、臨床工学技士と臨床検査技師のダブルライセンス、かつ血管診療認定を持つスタッフを中心に従事しております。