電子カルテとは、従来紙であった診療録(カルテ)を電子化したものです。簡単に言うと、診療情報をコンピュータに入力するためのシステムのことです。
南千住病院では、2004年11月に導入しました。
では、電子カルテを導入すると、患者様にどのようなメリットがあるのでしょうか?
医療に限らず、電子化の大きなメリットとして、情報の共有化が挙げられます。
医療では、診療情報を各部門で共有することにより、各部門でリアルタイムに患者様の状態を確認することが出来ます。また、検査データや投薬内容も一元管理されるので、各部署からアクセスすることにより、紙カルテに比べて格段に業務がスムーズに行えます(紙カルテでは、カルテのある場所まで行かないと色々な情報が分かりにくいので、迅速性に欠けてしまいますし、1つしかないカルテをみんなで同時に見ることはできません)。
患者様の投薬内容が一目で確認できるため、複数診療科による重複投与が発見しやすくなります。
また、医師から各部門への投薬や検査などのオーダも電子化されますので、紙の伝票で起こりがちな転記ミスなどが激減しますし、紙の保存スペースもいらなくなります。
誰かが一度入力した情報は、連携する部門システム(検査システムなど)で共通して使えるのもメリットとなります。システムのオンライン連携がない場合は、患者様のお名前や医師の指示内容を、各部署でもう一度コンピュータに入力しなければなりません。しかし、システム連携が行われていれば、一度誰かが入力したデータは各システムで共通して利用できるので、手間や入力ミスのリスクを減らせます(例えば、患者様のお名前や生年月日は、医事課が医事システムに入力すれば、その他の部署では入力する必要はなくなります)。
依頼情報が瞬時に各部署に転送されるので、指示を出してから実施までの時間が短縮されます。例えば、会計データが瞬時に転送されることにより、診察終了からお会計までの待ち時間が短くなります。
インフォームドコンセントとは、患者様に分かりやすく説明し、納得してご同意頂いた上で医療を受けて頂くことです。
電子カルテを利用すると、検査データや画像が手軽に見やすくなります。例えば検査値の増減をグラフで分かりやすく表示できるので、患者様へより分かりやすく説明することができます。
紙のカルテは大量の紙を必要としますし、部門間の連絡に大量の紙(処方箋、伝票など)を消費します。また、それらの紙の保管スペースも必要となります。
電子化することにより、診療録をはじめ、多くの紙を減らすことができますし、減った分の紙の保管スペースも他のことに利用できます。
いいことずくめに見える電子カルテですが、問題もあります。
まず、ネットワークコンピュータの宿命とも言える、不正アクセスの問題があります。当院は不正アクセスを防ぐために、電子カルテや全ての医療情報システムを、一般のインターネットと切り離しており、外部からの不正アクセスに対応しております。
また、電子カルテはコンピュータ(パソコン)ですので、パソコンを使う必要があります。最近はかなりパソコンが普及しているようですが、未だに誰でもが使えるとは言えません。パソコンが苦手な医師を対象として、院内にて操作訓練を行っており、医師は少しでもスムーズに電子カルテを操作できるよう練習しております。電子カルテで診療を行っている施設では、医師がパソコン入力に集中するあまり、患者様の方を向いていないとか、患者様との対話が減っているのでは、との声を耳にします。当院ではこの問題を回避するために、パソコンのディスプレイを医師と患者様の真ん中に設置しており、少しでも患者様のお顔が見えるよう配慮しております。